豊かな自然と子育て5

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もうすぐ飛騨高山でも紅葉が始まります。

この時期の山々の装いの変化には、毎年ハッとさせられます。急に冷え込んだ朝、一晩でこんなにも木々の色が変わるのか!と、その美しさには息をのむほど。

行楽の秋、スポーツの秋、という言葉もありますが、山々のフィールドで体を動かし遊ぶことは、子供たちにとって楽しいと同時に学びも与えるものですよね。

自然の中では、時にハラハラするような瞬間に見舞われることもあります。例えば、原っぱの草が日陰部分だけまだ雨のしずくが乾いていなくて濡れており、ツルっと滑ったりして転びそうになったり。山の天気は変わりやすいと言いますが、まさにその一刻一刻変化する自然条件に対応する必要も出てきます。単純なことで言えば、急に肌寒い風が吹いてきたから、一枚羽織ろう、とか。

本格的な登山と言った状況下になればなおさらのこと、地図を見て「現在地はどこだろう」「この急斜面を避けるにはどのルートが良いか」などを考察し、霧が出たなどの場合には、それに対応するための工夫を強いられます。こういった、自然の中で「状況に応じた判断をする」ことは、脳科学でも前頭前野が活性化されると証明されているのだそうですよ。

前頭前野、前頭葉とは、人間の脳の中でも判断や実行能力をつかさどる部分。この領域は小学生くらいから急速に発達していく部位でもあります。まさにその時期に、たくさん刺激を与えてあげられれば、前頭葉は十分に活性化され、実行機能もまた向上していく。

「指示待ち人間」にならないために必要な能力のうちのひとつですよね。

 

学校の先生にお話を聞くと、「失敗を恐れる子」「正解を欲しがる子」が、昨今増えているといいます。叱られるのが怖い。いい子でいなければならないと思っている。人の幸せや人生に、教科書は本来存在しません。それでも、「じゃあどうしたらいいんですか?」と正解を欲しがる。これは、自分で判断し、自分の決断に責任を持つのを避けている、という見方もできるはずです。それでもいいかもしれない。けれど、自分で判断し、自分で決断した方が、幸せは訪れるはずだと、私は思うのですが、いかがでしょうか。

「じゃあどうしたらいいんですか?」という質問の答えを待っていては、自然の中では間に合いません。だからこそ、自然環境下で自分自身で判断することに慣れておくことは、日常に戻った時にも大いに役立つのではないかと思います。

 

これまで5回にわたり、このブログでも自然環境が子供たちに与える力についてお伝えしてきました。

春、夏、秋、冬、それぞれの自然環境の中で思いっきり遊ぶ。そんな楽しい体験を通じて、子供たちがすくすくと成長していきますように。