高山市文化遺産活用実行委員会主催 「宮笠の次代を考えるシンポジウム」
宮笠、ご存じですか?
一之宮町(高山市)に伝わる伝統工芸。主に農業を営む際の笠として用いられてきました。江戸時代には「松の葉の 雨もらさぬは 唐のこと 檜は 日本一の 宮笠」という歌も残されているほど。
ヒノキ、イチイで編まれた笠で、晴れの日には乾いて網目に隙間ができ風を通し、雨の日には濡れて目が埋まり、雨を通さない。今回のシンポジウムに際し、サーモグラフィー検査を行ったところ、熱の遮断率は最新のサファリハットにも並ぶ品質。しかも「風を通す」ので、サファリハットより涼しい!数百年前のものが現代のものより優れているって、すごいです!
飛騨の里などでも貸し出しが行われたり、今度の3連休(9月21日から23日)にも市街地で貸出し等 宮笠の観光客への周知を目指したイベントが企画されています。かつては貨物列車の荷台がいっぱいになるほど他県へ出荷もされていました。
冬場の農閑期の副業から始まり、最盛期には100軒あった生産農家も現在では問坂義一氏ただ一人となり後継者の確保が急務とされています。
そんな宮笠についてのシンポジウム。
主催者である高山市文化遺産活用実行委員会会長の 森 久治(もり きゅうじ)様 ご挨拶では自ら持参された宮笠をかぶってのご登壇。バックヤードでの一枚で、はっきり映らなかったのが残念!
愛知淑徳大学 林 大策(はやし だいさく)教授 中部日本放送でのご活躍の傍ら大学院で学ばれ、いま大学の教壇に立たれて10年。立教大学のご出身で私同窓です!この他、クリス・グレンさんなどともご交流があって、いろんな「共通のお知り合い・お友達」が多く、ご縁を感じました!フレンドリーでとっても素敵な方でした!「他地域での各種伝統文化の取り組み事例」をご紹介いただきました。高山へは10年ぶりに宿泊された、との印象から「以前と印象が違う」とインバウンド等に伴う高山市の変化にもご興味を持たれたご様子でした。
みなさんのそれぞれのご講演、またトークディスカッションでの様々なご意見。
とても素晴らしいイベントにて司会をご用命いただき、本当に光栄でした!
伝統をはぐくんできた歴史、そして作り手に敬意をもって、決してそれを失うことなく発展していくことを願っている、と最後におっしゃられた田中先生の一言が、印象的でした。
「変えていっていいこと」「変えてはいけないこと」
シンポジウムの中でのお話の中でのその精査は、宮笠をつないでこられた方々への敬意を以てこそ、未来へつながれていくことでしょう。