夏の旅行、というと思い出す、
「アビリーンのパラドックス」という有名な心理学の逸話があります。
それは、こんなお話。
アメリカ、テキサス州のある街。8月の暑い日にいくつかの家族が集まって団欒していた。そこでふと一人が「アビリーンヘ出かけるってどう思う?」と発言。アビリーンは約90キロ離れた街。リッグスは実は内心嫌だな、いきたくないな、と思っていたが、みんなが行きたいならと考えて付き合うことにした。しかし、案の定、リッグスの予想通り道は埃っぽい、しかも暑い。決して快適でも楽しくもなかった。旅行が終わったあと、リッグスはその場にいた親友に、自分が実は最初から気乗りしなかったと打ち明けると、親友も、その妻も…なんと驚くべきことにその場にいた誰一人として、アビリーンヘ行きたくなどなかったことが判明した。
つまり、みんながだれしも、他の人が行きたがっていると思い込んだ、という不思議な心理を証明した話です。リッグス、というのは私が勝手に分かりやすいよう挙げた仮名ですが、
理論は、経営学者ジェリー・B・ハーヴェイ(Jerry B. Harvey)が著書『アビリーンのパラドックスと経営に関する省察』The Abilene Paradox and other Meditations on Managementで提示したもの。
集団心理の不思議。
社会心理学では、人は集団から外れるのを怖がるといいますが、アビリーンのパラドックスは、まさにその心理が原因となって望まない結果を生んだ代表例なのです。
これは経営にも活かさなくてはいけない理論ですよね、さぁ、はたして本当にアビリーンへ行きたいか?という再確認を怠らないことが大切なんですね。