妊娠期には、なぜかちょっとしたことにイライラしてしまったり、些細な一言に過敏になったり。
よく言われますよね、妊娠中の女性の気持ちって不安定だ、と。
だからこそ妊娠期の女性が読む雑誌や、公共の団体が発行する文書にすら「家族はそんな妊婦さんの支えになってあげるのが望ましい」なんて書いてあります。実際は、支えになってくれるご主人はどれくらいいらっしゃるのでしょう?
私の場合は、イライラしたり情緒不安定な自分は、なんというか…自分であって自分でないというか。なので、多分優しくされすぎると自己嫌悪に陥っちゃいそうです。「こんなやさしい主人に引き換え、私はなんて心の狭いダメな人間なんだろう」とかって、ね!なので、「ああ、そういうイライラしやすい時期なんだな」くらいの目で見て、ほっといてくれると翌日にはケロッとしていたりするのです。
こういった「イライラした時に、してほしい対処法」は、女性によって様々ですから、男性は頑張ってくださいね。笑
さて、そんな「妊娠中の不安定な心理状態」について、クラウス(Marshall H.Klaus)とケネル(John H.Kennel)は、たいていの女性にとって妊娠とは大きな変化に富む時期であり、積極性から消極性への揺れ動きが強い時期である、としました。つまり、お腹の子を守るためにフォワードからディフェンスに変化するわけですね。
バリバリ仕事をしている女性が妊娠した際、「今まで通りに頑張らなくちゃ。妊娠したからって他の人に迷惑をかけるわけにはいかない。」と考え、仕事ではフォワード気質のままでいるものの、実際内面の変化としては「でも、お腹の子のことを考えると、残業はできない。ゆっくり休みたい。」など、ディフェンスの気持ちがむくむくと湧き出でるはず。
この対立した気持ちの葛藤がストレスを生み、「妊娠して悩んでいる」という、一見すると妊娠がネガティブかのような状況を生み出してしまうので、周りは気を付けてあげて欲しい部分です。
また、ブラゼルトン(Brazelton,T.B)は、こう言いました。
(上記のような対立する気持ちの葛藤など)妊娠中に起こる混乱は、子供への新たな愛情のための通路(circuits)を準備することであり、出産という一瞬でガラッと生まれ変わるかのような体験をするための、「回路を開く準備」なのだ、と。
いろいろ悩んだりして、当たり前。
実際、専門的な育児書を読んでも、「妊娠中期、さらに後期にかけて強く不安を抱くのが『自然』であり、それこそむしろ望ましい妊婦の心理状態の変化だ」とされているんですよね。
私はブラゼルトンの「回路を開く」という表現がとても素晴らしいな、と感じました。
それまで生きてきて使わなかった脳の回路が、パッカーンと(笑)開くことで、悩みもするけれど未知なる子供を育てるためには、それが必要なことなのだ、と。
実際今の私もそうですが「子供が生まれたら、どう生活が変わるのか」「娘の子育てでも完璧でないのに、下の子が生まれて私はいい母親になれるだろうか」そんなことすら考えて不安になることがあります。
でもこの自問こそ、実際子供が生まれた際に必要な葛藤だったと思えるはず。だって悩みの答えは「とにかく精一杯やるしかないっしょ!」なのだから。答えはわかっていても、それでも不安になる。それを繰り返して、いわゆる「子供を持つ責任感」や「覚悟」というものが、自分の内面に育まれていくのではないでしょうか。
周りからは「しあわせそうだね」と言われる妊婦期間だからこそ、なかなか「実は悩んでるの」と友達に対しても相談できない方も多いのでは?もし、いろんなことが不安でたまらなくなってなかなか気持ちが晴れない、というときは、「回路がパッカーンしている最中なんだ」と考えて、どうか不安になったりする ありのままの気持ちの状態を、大切にしましょうね。