子供に吃音症状があるとき、どうしたらいいのか?
逆に、何をやってはいけないのか?
まず覚えておきたいのは、吃音とは、「言語発達の副産物」であるということです。
2歳健診で、言語発達が平均に比べてゆっくりだと保健師さんから言われた息子。幼稚園に入園し、お友達や先生方のおかげでたくさん語彙が増えました。彼自身の中でも、「話したい!」という気持ちが格段に増し、積極的に話しかけてくれるようになったり、と、親の私も驚くほどの成長を感じた4月5月6月でした。急にボキャブラリーが増え、脳も成長が著しい2から5歳。その時期に、右脳の左脳の情報交換がうまくいかなかったりタイミングがずれてしまうことも、そりゃあるだろうと、今私は思っています。
こんな風に考えませんか。
一升瓶を逆さにした時のようだ、と。中の対流がうまくいっていないと、小さな口である一升瓶からは中の液体がなかなか出てきません。ゴボッ!ジャ!と出たり、出なかったり。口から流れ出るリズムが不規則なんです。しかし、逆さにした一升瓶の底の部分をくるくる回して、中の液体にうずうずの対流を生んであげれば、ジャー!っと一気に同じ量スムーズに勢いよく出てきます。
息子の頭の中にはボキャブラリーが増えてたくさん言葉が詰まっている。でも、出てくる口は一つ。だから、あとは自然に対流が生まれるのを待てばいい。そんなイメージです。言葉がつっかえても、なかなかでてこなくても、息子の頭の中には詰まっている。だから充分。後は、そう、ただ待てばいい。
実際、長期間(3年~10年以上)吃音症状に悩む場合、
*音楽に合わせて歌うように言いたいことを喋る。
*一音を二倍から三倍の時間でゆっくり喋る。例 こーーんーーにーーちーーはーー。
*メトロノームに合わせて喋る。
*囁くような小さな声で喋る。
また、小学校の国語の授業中における音読では、「グループ朗読」のように*一人ではなく、二人以上で音読する。
といった対処方法がありますが、どれも一時的な対処療法です。つまり、永遠にそれだけでは生きていけないやり方しか存在しない、というわけです。
吃音は、本人は、自然に自分の中のタイミングが整うのを待てばOKだ、といえるのではないでしょうか。そもそも、吃音は言語発達の副産物なのですから、発達をそのまま自然に続けていくことで十分なのです。
本人が「やるべきこと」を持たないのに対し、本人ではなく周りが心がけることはたくさんあります。そこで、想像してみてください。実際吃音症状の出ている子供を目の前にした時、自分がやってしまいがちなことを。
私は、最初「大丈夫?落ち着いて、ゆっくり話してごらん」と言ってしまったり、
「お、お、お、お・・・さん」(お母さんと言いたいのに、連発、難発が起こってしまっている)と口にする息子に対し、「お、か、あ、さ、ん。一緒に言ってみて、ハイ、お、か、あ、さ、ん」と強要したり。
「し、ししたに、お、おり・・・」(二階から一階の下に降りたい、ということが言いたい)という息子に対し、言葉を先取りして「下に降りたいのね」と先に言ってしまっていました。
これらは、すべてNG。つい言ってしまいがちなこと、ついやってしまいがちなこと。ですが、昨日まで言えていた「お母さん」を、急に言えなくなった自分に驚いた息子の顔が、忘れられません。途方に暮れたような、不思議そうな、困ったような、悲しげな顔。
ゆっくり話してごらん、じゃなくて、こちら側がゆっくり話すことが大切。
言葉を遮らず、「伝える喜び」を抱いてもらえるよう、話し方に注意するのではなく話の内容に耳を傾けることを忘れない。
今、親が日常的にできることは、それくらいでしょうか。
吃音に「悩む」、それは最初、本人ではなく親御さんの気持ちです。本人は、発症年齢が幼い時期が多いことから、まだ「話すことに躓いて苦しいこともあるけど、話したい気持ちが強い」。ただ、私が最初とってしまった対応のように、どもりは悪いこと、ダメなこと、すぐ治すべきこと、といったような性急な態度を繰り返されれば、子供の心の中で「どもったら嫌だから話さない」という気持ちがどんどん膨らむばかり。それこそが、最も懸念すべきことなんです。
小学校に上がれば、先ほど記したように音読の時間にはグループ音読にしてもらい、一人で音読というのは避けるように協力してもらう、とか。あるいはからかわれることを避けるよう、先生だけでなく他のお子さん、またその親御さんへ協力をお願いするのがいい、といった状況にもなりえます。親は、その時々で、「何をすべきか」は変わっていきます。それを悩みながらも自分なりの答えを我が子と見つけていくことが肝要ですよね。
まだ3歳の息子。これから先、私は何をすべきなのかはわかりません。いつ、吃音が治るのか。治ることを願いながらも、それでも今、声を大にしていいたことは一つ。
「どもったって、いいんだよ!!!!」ということ。
どもってもいい!言語発達の証拠なんだから!
吃音と付き合っていくにも、治ることを願うにしても、「どもっても大丈夫」このスタンスこそ欠かせない軸なんだと、思ってます。
吃音について相談する窓口はたくさんあります。我が家は、これからどんな風になっていくのかわかりませんが、子供にとってベストな道を選ぶことを一番に考えていきたいものですね。