爪を噛む。家康も!?

爪を噛む女性AC

爪を噛むのは、子供の場合「愛情不足」と長年言われてきました。果たしてそれは正しいのでしょうか?大人になっても治らなかったら?

じつは、あの徳川家康も、「爪を噛む」癖が治らなかったのだとか。

うちの下の子(年少)が、幼稚園で運動会の練習が本格的になってきたころから爪を噛みだしました。運動会当日も、自分が何かをしているときは大丈夫なのですが、年中さん、年長さんなどの種目を席に座ってみんなで見ている、という時間には延々と噛みっぱなし。心配になりました。

長年、爪噛みは「母親からの愛情不足」と言われてきたのだとか。確かに、自分の言うことがほぼ叶えられる「母親と二人の時間」から比べて、母親のそばを離れて、幼稚園保育園などの社会生活の中に入った時に、爪噛みという症状がで出始める子が多いのは事実です。

しかし、フロイトをはじめとする心理学者が言っているのは、「何かが満たされない時に、口に何かを入れて不安解消を図る」といったメカニズム。口唇期(おおむね2歳まで)に回帰する、というのでしょうか。おっぱいに精神的にも癒されていた乳児期に精神的に近い状態に持っていこうとする、爪噛みはその代償行為、というわけです。

大変な場合は、爪の形が変わってしまったり、という話もありますが、うちの子なども、なんと足の爪まで噛もうとする。いえ、実際噛むのです。靴下を脱いで、両手で足を抱えて、口を目いっぱい足の指に近づけて。「足の爪を噛んでいるとき、どんな気持ち?」と試しに息子に尋ねてみたところ、「おいしいの。」と。笑

これはもう、口唇期への回帰といった深層心理が彼の中にあるのかどうかも分からなくなってきました。もちろん、何らかのストレスが現れている、という視点で、精一杯本人の状況を理解したり推察したり、見守ったり。そういった努力の必要性は感じましたが、苦いマニキュアを塗らせて爪噛みを無理やり辞めさせる、といった結論には私はたどり着かなかったのが現状です。

爪を噛む。「そうしていると落ち着く」というのは息子にとっても、確かな様子。

大人になっても、「爪噛みをしている人は精神的に未熟なんだ。子供なんだ。」という断定的な意見を耳にすることがあります。それについても、あまり推論だけで精神状態を断定しすぎではいけないんじゃないか、と私は思います。

ひとつ、覚えておきたいのは、大人になっても爪を噛む、という行為については「自傷行為」でもある、ということ。つまり、爪を噛むのは「安心したい、と感じるような、何らかのストレスを感じており、かつ、自分に対する嫌悪感も潜在的に抱いているケースが多い」ということ。そういった状態で単に「爪噛みしているなんて幼稚だからやめたら?」と、否定的な意見をぶつけることは、逆効果となりえます。

子供が爪を噛むから母親が悪い、

大人なのに爪を噛むから本人が悪い。こんな短絡的な答えを出すためにフロイトは口唇期を分析したのではないはず!

行動やしぐさから心理状態を察することは、『悪者捜し』をするためではなく、あくまで相手の心理状態を理解するため、という部分を明確に目的に持っていたいものです。

それにしても、うちの子はどうして足の爪まで噛むんだろうなぁ。一生懸命足の爪を噛んでいる時の、丸めた背中と丸いお尻をたまらなく愛おしく思う母でした。