シャクヤクの花

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母が生前育てていた芍薬の花が、今年も庭で花を咲かせています。

少し手をかけたせいか、今年はとても綺麗。でも、最も綺麗だったのは、母が他界した年のものでした。初夏のころ、怪我をして庭にも出られなかった母。あまりに綺麗に咲いた芍薬の母の写真をベッドの母に見せると、「きれいやなぁ、見たいなぁ。」と。あまりに綺麗だった芍薬をタオルのが可哀想に思われ、「来年はいっしょに庭で見ようね」と母に言って、そのままにしたのです、その年の秋に母が他界するとは思わずに。

そのことを、今も思い出しては悔やみます。

母の願いを、叶えてあげればよかった。芍薬など、はさみで何本でもジョキジョキ切って、ベッドの上の母の目の前に大輪をいくつもいくつも飾ってあげればよかった。わぁ、きれいだねと笑う母の笑顔が見たい。今、見たくてたまらないと思うほどに胸が苦しい。

亡くなって9年が経つのに、まだ後悔が消えないのです。

不思議ですね、こんなささやかなことで、毎年毎年、心がズキズキ痛むのです。

 

後悔する、と言う感情を持てあます人は多いですよね。

もう今となってはどうしようもないことなのに、後悔の気持ちが消えてくれない。

この気持ちをどうしたらいいの?と思った時、解決方法はないわけではないんですよ。人の後悔は、「ツァイガルニク効果」によるところのものが多いとされています。未完のものや、途中で終わってしまったことが気になる心理状態。初恋に後悔が多いのは、思うように告白できなかったりと言った未完の状態が多いからなのでしょうね。

自分なりに、「終わり」を見つけて決着をつけてあげることが、後悔を消す有効方法。

 

今、我が家の仏壇には芍薬の花が飾られています。こうやって、私も毎年母にシャクヤクを供えれば、いつか後悔に終わりを迎えることができるのか。それとも、自分が天寿を全うする時にシャクヤクを手土産に母に会いに行くことができるまで、後悔は消えないのか。すくなくともしばらくは、母を大切に思っていた証として、この後悔とも付き合っていこうと思います。

あなたも、あなたの後悔に、柔らかなピリオドを打つ日が来ますように!